民主党政権が誕生する準備が進む中、鳩山次期首相が、温室効果ガスの排出量を1990年比で25%削減すると明言しました。すばらしい。麻生政権が約束していたのは、わずか9%の削減ですから、その姿勢の違いは明白です。
もちろん簡単にできることではありません。それでも、世界の環境世論と日本の財界とのバランスを取って両方にいい顔をしたつもりで9%という数字を出し、世界から呆れられたのに対し、困難なものであっても思い切って高い目標を掲げる姿に、この国が変わるだろうという実感を覚えました。
現実にばかり押し流されるのでなく、高い理想を掲げる。このことを、われわれは忘れていました。もちろん現実を無視はできませんが、そちらにばかり気を取られて理想や夢というものを忘れていては、寂しい社会にしかなりません。早速、世界各国から、鳩山新政権への期待の声があがっているではありませんか。
わたしがよく、文化芸術で世界を変える、と言うのは、「理想」を「文化芸術」に置き換えているともいえます。映画や演劇や小説や絵の中にあるのは現実ではない。人間が空想した一種の理想です。たとえそれが悲劇や残酷劇であったとしても、その中に美を追究する限りは、作者はそこに理想を見ているのです。
わたしが、『闇の子供たち』という映画を高く評価するのもその点からです。そこに描かれている世界は、幼児売買春だったり臓器移植だったり、それに伴う幼児人身売買だったり、汚くて残酷なものです。しかし、映画が目指すのは、そんな悲劇のない世界にしていくための人々の思いなのです。子どもがひどいめに遭うことを根絶しようという理想が、過酷な描写の裏には脈々と息づいているのが感じられます。
この映画を世界の人々に観てもらいたい、というわたしの願いが、まず一歩実現しそうです。07年11月13日、08年11月11日のこのコラムで紹介した韓国ソウルでのPINK FILM FESTIVAL(ピンク映画祭)を主催している映画館CINUSのチョン・サンジン代表がわたしの思いを受けてくれました。彼とわたしの共同事業で、韓国での配給・上映が実現しそうです。この夏は、うれしいニュースが続きました。
寺脇研 今週の映画レビュー
◎=ぜひお薦め ○=余裕があれば観てください ●=わたしはウンザリ
| 正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官 | ◎ |
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| 20世紀少年 最終章 ぼくらの旗 |