映画評論家の寺脇研氏によるオススメ映画や、人生の楽しみ方をお届けします!

寺脇研の人生タノシミスト

2008/11/18 火曜日

ソウルMEGABOX 第5回日本映画祭

カテゴリー: 映画 —投稿者:寺脇 研 @ 9:18

先週書いたとおり11月12日から16日まで、ソウルの巨大シネコンMEGABOX COEXでの第5回日本映画上映に行ってきました。上映作品を選定するプログラマーとしては、何より気になるのは観客の反応です。

映画は17本。今年公開の『ひゃくはち』『ダイブ!!』『純喫茶磯辺』『西の魔女が死んだ』『ビルと動物園』『フレフレ少女』、日本では11月29日公開の『青い鳥』。昨年公開の『ワルボロ』『国道20号線』『天国は待ってくれる』。2〜3年前の公開作が『幸福のスイッチ』『狼少女』『帰郷』『隣人13号』。過去の作品で『時雨の記』。これは、ベテランの澤井信一郎監督に若手監督の作品を講評する立場で参加してもらうために澤井作品をプログラムに加えたもの。そして、韓国でもたいへんな人気作家である村上春樹原作の『風の歌を聴け』と吉本ばなな原作の『キッチン』といったラインナップです。

結果から書けば、大成功。どの作品も大歓迎されました。その理由は、この映画祭に集まる韓国の映画好きな若者たちが、実に深く、実に真剣に映画に向き合っているからでしょう。彼らは、受け身で映画に「楽しませてもらう」のでなく、自分の力で映画の面白いところを読み取り、能動的に映画を「楽しむ」姿勢を持っています。

まあ、そのことがわかっていたから、こんな大胆な番組を作ってみようと思ったのです。とはいえ、大胆は大胆。13本の新進監督たちの作品は、日本の映画界では必ずしも評価を得ていないし、公開時も大きな話題になったりヒットしたりしていません。全くわたしの「独断と偏見」で、自分が面白いと思った映画を選んだのです。

だから、『ひゃくはち』を観て笑って泣いた、とか『国道20号線』はスゴい、とかの韓国観客の感想を聞くとうれしくなってしまいます。『ビルと動物園』や『青い鳥』といった地味な作品にも、ちゃんと熱烈なファンが現れました。今回の作品はレベルが高かった、と日本語でわたしに賛辞を送ってくれた青年もいます。

もちろん、13人の新進監督たちが、いい映画を作る努力をしたことが、正当に評価されたまでのことです。ただ、それが日本の映画ジャーナリズムには気がつかれずにいることが、残念でなりません。

皆さんも、まずは近く公開の『青い鳥』、ぜひ観てください。

◎=ぜひお薦め  ○=余裕があれば観てください ●=わたしはウンザリ

秋深き
天国はまだ遠く
大奥百花繚乱
宿命
Happy ダーツ
1408号室
ブラインドネス
俺たちに明日はないッス

2008/11/11 火曜日

2回目のPINK FILM FESTIVAL

カテゴリー: 映画 —投稿者:寺脇 研 @ 8:38

去年11月13日付けのこのコラムで紹介した韓国ソウルでのPINK FILM  FESTIVAL(ピンク映画祭)。今年は2回目が開催されています。昨年の1週間から4週間に期間延長され、場所もソウルだけでなくプサン、テジョン、ピジュの3都市でも開催されました。

今年も、女性スタッフが力を入れて、女性が楽しむことのできる洒落たイベントになっています。その様子はホームページ http://www.pinkfilm.co.kr/ を見ていただけると韓国語表示ではありますが、わかってもらえるでしょう。

11月1日に行われた開会式からの3日間、わたしも行ってきました。韓国の若い女性がピンク映画を観て、そこに描かれた女性像や恋愛観について議論するというこの映画祭の趣旨が、すっかり定着してきたと思います。堅くならないフランクな議論が、観客と監督たちの間で交わされました。

考えてみると、男女の性と愛を描くピンク映画は、ナショナリズムや政治意識と関係なく、どんな国の人にとっても共通のテーマを追っているとも言えます。ピンク映画を語る限り、話は通じるし争いにもなりません。大げさに言うなら、ピンク映画が世界の平和をつくるのかもしれません。

11月12日から16日までは、今年で第5回になるソウルMEGABOXでの日本映画祭があります。わたしは今年の上映作品を選定するプログラマーの役をしているので、また韓国行きです。今までは過去の日本映画を紹介することが中心でしたが、今年は若手監督の新しい作品を中心にラインナップしました。

『ひゃくはち』『ダイブ!!』『純喫茶磯辺』『西の魔女が死んだ』『ビルと動物園』『フレフレ少女』、そして日本でも公開前の『青い鳥』といった今年の作品が7本。他に昨年公開の『ワルボロ』『国道20号線』『天国は待ってくれる』などが上映されます。韓国の若い観客からどんな評価を受けるか、楽しみです。

韓国版のホームページは、http://www.j-meff.co.kr/

◎=ぜひお薦め  ○=余裕があれば観てください ●=わたしはウンザリ

X-ファイル:真実を求めて
男女逆転 吉原遊郭
むずかしい恋
七夜待
リターン
優雅な世界
M

『X-ファイル:真実を求めて』の評価について:
前回の●評価は表記ミスのため訂正いたしました。

2008/11/4 火曜日

「グレモモ」の余韻

カテゴリー: 激弾BKYU, 演劇 —投稿者:寺脇 研 @ 8:49

「グレモモ」京都公演をやりとげた満足感の余韻から、まだ抜けきれないでいます。

公演から10日ほど経った10月23日から26日まで、「グレモモ」作演出のサカイハルトが、役者酒井晴人として舞台に立つ芝居「老コメディアン物語 とりあえず夢… 」(制作母体の公式サイト http://www.aporo5.co.jp)が新宿シアターミラクルで上演されました。

それを機会にあのときの顔ぶれが集合です。俳優たちも、まだ上演成功!の興奮を反芻しているようでした。だって、メール、感想文等々で観客や関係者からの、よかった!との声がいろんな形で連日のように届いているのですから。

そんな声を皆で有難く噛みしめ、また、公演の思い出話も弾んで、つい、日付の変わるまで飲んでしまう日が2日続きました。

実は、京都公演打ち上げの席で、わたしは座長から激弾BKYUのユニフォームであるTシャツを贈られました。仲間だと正式に認めてもらったことになります。仲間の仕事ぶりには、絶えず注意を払わねばなりません。

というので、「グレモモ」では重要な脇役ベッポのおかみさんを演じた蔵重美恵の出演するオリジナルミュージカル「Fuunji 風雲児・坂本龍馬」(10月29日から11月2日まで 公式サイト http://OneonOne.jp)を中落合のシアター風姿花伝に観に行きました。楽しいミュージカルで、激弾BKYUきっての唄の名手である蔵重さんにとってはうってつけの舞台でした。京都造形芸術大学学生ダンサーズのメンバーも、指導を受け共演した蔵重さんの舞台を観たいというので駆けつけてくる子がいたようです。

それともうひとつ。京都公演会場のロビーで、われわれのリクエストに応えてミニ個展を開いてくれたイラストレーター小澄源太さんの初写真展『超日常 外と家ウチ』にも足を運びました。大阪のミリバールギャラリーという小さなスペースでしたが、イラスト同様インパクトのある写真揃いで刺激的な展示でした。小澄源太(オフィシャルサイトhttp://www.cosmoheadanno.net/)というイラストレーターの絵も、機会があればぜひ見てみてください。

◎=ぜひお薦め  ○=余裕があれば観てください ●=わたしはウンザリ

櫻の園
X-ファイル:真実を求めて
かけひきは、恋のはじまり
彼が二度愛したS
イーグル・アイ
愛 サラン
M

2008/10/28 火曜日

ホームレス中学生評

カテゴリー: 映画 —投稿者:寺脇 研 @ 9:41

映画評論家って、どんな文章を書いているのか。わたしが現在、定期的に原稿を書いているのは映画雑誌キネマ旬報の「REVIEW」欄です。毎回4本の映画が課題となり、それぞれに短評を書き★4つから★1つまで4段階で評価をします。4つが「必見!」、3つが「一見の価値あり」、2つが「悪くはないけど」、そして1つが「私は薦めない」ということになっています。

書店でキネマ旬報を立ち読みするか、図書館で(だいたいの図書館には置いてあります)読んでもらうといいのですが、ちょうど手元に未公表の一文があるので、ここに掲載します。たまたま、依頼を受けていた『ホームレス中学生』の評が編集部側の都合で他の作品と差し替えになり、誌面に載らないことになりました。

その文章を、このブログでお見せします。この映画、先週の回でこのコラムでも
○=余裕があれば観てください 作品としてご紹介したことですし。

ホームレス中学生

平凡な中学校生活が父の家族「解散」宣言で急変する、その底の抜けたような落下感が潔く描かれる。 …そして、ひと夏の浮浪。ささやかなプライドが剥ぎ取られ、みじめさと飢えとが真に迫る。そこがあったればこそ、ありついた食べ物や人情の有難味が染み入るのである。近所の大人たちの温かさが、『三丁目の夕日』的作り物でなく現実の日常の匂いとともに伝わってくる。生きる喜びが滲み出た。ただ惜しむらくは最後の方がややくどく、主人公の現在を見せたエピローグも明らかに蛇足。

★★★

ついでに、今週ご紹介する韓国映画『セックス・イズ・ゼロ2』について解説を書いておきます。この映画を観ると、前半の3分の2くらいは「え? どこがいいの?」と思うでしょう。腹を立てる方もあるかもしれません。それほど、あまり品のよくないおふざけが続きます。でもそれは、最後の3分の1で描かれる純愛を際立たせるためのものなのです。もしご覧になる方には、そう申し添えたいと思います。

◎=ぜひお薦め  ○=余裕があれば観てください ●=わたしはウンザリ

まぼろしの邪馬台国
レッドクリフ Part1
ブタがいた教室
ファン・ジニ 映画版
セックス・イズ・ゼロ2
6年目も恋愛中
官女

2008/10/21 火曜日

「グレイッシュとモモ」河合隼雄先生と子どもたち

カテゴリー: 映画, 激弾BKYU, 教育・子どもたち, 演劇 —投稿者:寺脇 研 @ 9:23

京都での激弾BKYU公演「グレイッシュとモモ」、観た方々の感想が続々と寄せられました。うれしい限りです。

実はこの芝居には、半分の1時間に短縮し、舞台や舞台装置を使わないで上演するバージョンがあります。それを、文化庁長官時代のてい河合隼雄先生に観ただいたのが、劇団員一同の忘れ得ぬ思い出です。

詳しくは、http://kyoto-bunka.com/special/special02-4.html で見てください。

今回上演した完全版を河合先生に観ていただけなかったのが、いちばんの心残りです。ただ今回、先生の奥様をお招きしたところ、奈良市のご自宅から、わざわざ京都の北東部にある春秋座へお越しくださいました。舞台を楽しんでくださり、また、子どもたちが歓声をあげながら芝居を見つめている様子を、評価していただきました。「河合がここにいたら、きっと喜んだことでしょう」との言葉は、われわれ関係者一同を感激させるものでした。

実際、子どもたちの反応の大きさには驚かされました。基本的には大人相手の芝居ですから、台詞は大人の言葉が多くなります。子どもには理解できない語彙もたくさんあったと思います。それなのに、子どもたちはモモちゃんに共感し、こめられたメッセージをいつの間にか読み取っているのです。

京都造形芸術大学の理事長のことは、このコラム6月3日でご紹介しましたよね。その理事長が公演を覗きに来ました。耳の具合が悪いせいで長時間劇場にいられないため、ちょっとしか観られないにもかかわらず、後ろの席から劇場内の様子を見渡していたのです。というのも、前の日に観た小学3年生のお孫さんが、「おじいちゃん、すごくいいお芝居を観たよ」と話してくれたのだそうです。そんな幼い子を感動させるとは… というので、興味を持ってくださいました。

世代を超えて楽しんでもらえる芝居を目指していただけに、われわれにとって、それが一番うれしいことなのです。

◎=ぜひお薦め  ○=余裕があれば観てください ●=わたしはウンザリ

リダクテッド 真実の価値
ICHI
ホームレス中学生
釣りバカ日誌19 ようこそ!鈴木建設御一行様
春琴抄
最高のパートナー
ビューティフル・サンデー
石内尋常高等小学校 花と散りせば
容疑者X の献身
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